事例 インドネシアの税務調査について(2022.7.08)

【ご相談内容】

 当社のインドネシア現地法人は、インドネシアの移転価格文書化について、ローカルファイルおよびマスターファイルを作成し、ともにアップデートを定期的に行っています。移転価格算定方法としては「取引単位営業利益法」を用いています。

 税務調査があり、税務当局は移転価格文書に示している検証先対象者/対象期間と、税務署が指標とした対象先とが相違しており(対象先として適切でない)、利益率に差があると指摘されました。

その結果、当該差異(現地法人は欠損で税務申告しておりましたが、)に対する

 ①法人税の過少申告

 ②利益相違額は配当とみなすため、配当に対するPPh26(源泉税)の過少申告

が指摘されたそうです。

 当社としては、適正に対応していたつもりだったのに指摘されたことで大変驚います。インドネシアではこのような事例はあるのでしょうか?状況を教えていただきたいです。


【ご回答】

 インドネシアの場合、進出企業にとって常に税務に高いリスクを感じられているところです。今回の件に関しましても、このような指摘(比較対象先の選定及び利益率の算定が税務署と異にしておりその差額を指摘されるケース)は過去もそれなりに存在しているかと思います。ただし、絶対数が分からないため、このケースの増減はわかりません。過去から、発生している事案であるということは間違いありません。

 実際、指摘され、金額によっては異議申し立てなどの手続きに進むケースも少なくないということです。

 最近の状況としては「ローカルファイルの作成されていない」という指摘よりも、「ローカルファイルを提出してください」という税務署からのレターが増えており、新たに作成する会社が増えているようです。

 また、提出したら必ずしも指摘されるとは限らず、情報を集めている面も考えられます。税務調査時にどれくらい指摘されるかについては、実数を把握できているも絶対数が分からないためお答えすることは難しいのですが、まだ税務調査の担当官による部分が多いようです。ここが、インドネシアの税務リスクが高い理由でもあります。(税務行政に一貫性がなく、徴税ありきの調査が行われる)

 調査の結果に納得がいかなければ、異議申し立て→裁判と進むしかないと思います。公判維持コストも高額になりますので、どれくらいの追徴額かにもよるかと思います。

 ややもすると「そんなことであれば、ローカルファイルなど作る必要はないではないか」という声もきかれますが、ルールであることと、無ければないでもっと好き勝手をされるということから、ローカルファイルは維持すべきとお伝えしています。

 

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