事例 中国子会社における貸付金の調整について(2024.11.29)

中国に現地法人があり、出資金の他に多額の貸付金があります。貸付金はすべて円建てで、毎年のように貸し付けてきました。

一方、中国で製造した製品を日本に輸入しています。日本親法人が決算を迎え、債権債務の照合を行ったところ、出資金は一致していたものの、貸付金に大きな乖離が見られました。

 

原因を調べた結果、中国側が売上債権と貸付金を相殺していたにもかかわらず、その連絡が日本親会社に届いていなかったことや、貸付金の利息を日本親会社が計上する際に現地法人にインボイスを送付していなかったことが主な原因と判明しました。実際、差異がいつ、どのように発生したのかについては明確にはわかっていません。

 

今更調整することは難しいと考えていますが、今後どのような影響がありそうでしょうか?


【ご回答】

 

中国の現地法人を清算することになったことを想定すると、現地法人側に日本本社に借りた、あるいは支払義務が生じたことを明確に示すエビデンスがあるものは、債務免除して日本親会社側で損金に落とすことができますが、合わない部分(多すぎる場合も少なすぎる場合も)は、寄付金とするほかないと思われます。寄付金とする場合、海外への寄付となりますので、全額損金不算入となります。

いずれにしても、合っていない部分は損金にならないため、一度会計上債権債務を合わせてしまうことも、選択肢として考え得るかと存じます。その場合、合わない部分のうち、日本親会社の貸付金等が多い部分は、会計上収入とし税金の計算上も益金とします。逆に日本親法人の貸付金等が少ない部分は、会計上は損失としますが、税金の計算上は加算してその損失はなかったものとして計算します。


日本親会社と現地法人の債権債務が合わなくなると、上記のように税金上不利な計算をしなければならなくなりますので、毎月、整合性を確認することをお勧めします。

 

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